宮園クランがなんやかんやで小説家になるまでのブログ

凡そ社会的地位の無い30代男性が小説家を目指す為のブログ

潜入!カルト☆教団(その2)

※これは事実を元にしたフィクションです。登場する個人名・団体名などはすべて架空のものなのでご留意ください。



サウナは良い。


自分の中で胸を張って“趣味”だと言えるようになったのは凡そ1年ほど前から。

歴が浅いので通ぶるつもりはさらさらないのだけれども、これだけは断言出来る。


サウナは良い。


血流が良くなることで脳が覚醒し、ドーパミンにも似た快楽物質が生成されることによって得られる多幸感は、大概の事をどうでもいいと思わせてくれる。

その為にはある程度の下準備も必要で、第一に空腹であることが大切だ。

満腹な状態でサウナに臨むとキマりにくくなる整いにくくなるので、食事を済ます前に行くのがベスト。

第二に、全身を入念に洗う事。

洗髪・洗顔はもちろんのこと、身体に付着した垢を極力落とすことによって、発汗作用が促進されるので、面倒くさがらずに身体の隅々までをキレイにしておく。

これら下準備をした上で、ようやくサウナ室に入ることが許されると言っても過言ではない。

季節やコンディションによって多少の誤差は出るものの、私は基本的に①サウナ7~10分→②水風呂1分→③外気浴3分をワンセットとし、これを3~4回繰り返す。

ここで必ず守って欲しいポイントとしては、サウナ室→水風呂→休憩椅子までの移動時間は極力短縮することと、身体に付着した水分は出来る限りタオルでふき取っておくことである。


他にも語りたいことは山ほどあるのだが、今回の記事の内容とは大きく乖離してしまう為またの機会に取っておこうと思うが、さておき。

その日の晩、私はサウナに行った。

イイ感じにキマる整うことが出来、帰宅時には天下一品のスープライスセット(いわずもがなご飯は大盛だ)を平らげ、帰路についていた。


サウナや飯の最中は楽しかったが、やがてその気持ちも薄れていき、自宅の駐輪所に着く頃には沈み切った気持ちに逆戻りしてしまっていた。

頼るあてもなく、どうしよういやどうしようもないなあぁあどうしようというループが延々と繰り返される。

どん底にも近しい精神状態のまま階段を上っていくと、


「やぁやぁ。ちゃおっす」


玄関前に立っていた“彼女”は片手をひらひらと振りながら、私へと声を掛けてきた。


私はふぅとため息をつき、半ば諦めにも似た心境を相手に悟られないようにしながら、挨拶を返した。


「どうも。部屋汚いけど、立ち話もなんですし、上がっていきます?」


「おっ。いいねー話分かるねー。酒とつまみ買ってきてんだ。呑もーぜ」


真っ白な眼帯をした彼女は、悪びれもせずに早く早くと玄関の施錠を促してきたのだった。