※これは事実を元にしたフィクションです。登場する個人名・団体名などはすべて架空のものなのでご留意ください。
4月某日。
夏かと錯覚するほどに暑い気候。
雲一つない快晴の青空とは対照的に、私の心中は鬱屈とした漆黒で埋め尽くされていた。
「金が……金がない……」
給料日からわずか1週間足らずでその大半が無くなった原因は、まぁはっきりしていた。
書くのも情けないので詳細は伏せた上で一言で表すならば“例の病気が発症した”から、であろうか。
「どうしてこんなことに……つーか駄目な方の50%にしか傾かないとかこれもう呪いだろ……」
自業自得で後の祭り、悔やんでも悔やみきれないのはさておき、当時の私はかなり逼迫していたのだと思う。
なぜならこのままでは、1週間後に控えるクレジットカードの支払いが出来ないからである。
「生活費を限界まで削ったとしても、あと25,000円程足りない」
ならばもう一勝負してそれを埋め合わせるかという考えが一瞬頭にうかんでくるも、それを実行するには至らなかった。
既に死に体でありながらも、辛うじて理性が作用した結果ともいえる。
長年の経験(というには中身がスカスカな痩せた乏しい私見であるのはさておき)からして、気持ちに余裕がない状態で挑んだ結果は、大半が負けに繋がることを私は知っていたからだ。
「とりあえず仕事終わったらサウナに行こう」
現状の打開策が思い浮かばないままに現実逃避することを決めた私は、沈んだ気持ちのまま一旦業務に戻ることにした。
そしてその夜。
私は生きていく上で関わるべきでない存在と再開を果たすこととなり、更には今まで以上に関係を深めることになってしまう。