宮園クランがなんやかんやで小説家になるまでのブログ

凡そ社会的地位の無い30代男性が小説家を目指す為のブログ

滅紫の彼女【後編】

【前回までのあらすじ】
マッチングアプリで女性と知り合い、実際に会った後、流れで彼女の家に行く事になった。



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前編と、それに中編とを挟んで、いさかか引っ張りすぎた感が否めないので、もうここはある程度簡潔に、勿体ぶりすぎない様に記すべきだとは思うのだが、ともかく。


僕はほろ酔い気分で白タクシーに彼女と同乗し、山科の某所へと到着した。


深夜を回って、互いにアルコールが入っている状態であるというのは、いう必要が無いくらいにお決まりの展開になだれ込むであろう予測は立っていたのだけれども、結果からそれには至らなかったと断りを入れておこう。


ある気付きから、己の本能が理性に止められた所為である。


そういう点では幸運だったのかもしれないけれども、丁度タイミングよく、彼女の自室で煙草が空になっている事に気がついて、ゴミ箱の在り処を僕は尋ねた。


台所の流し台の付近のピンク色に着色されたそれを開けた時に、それらはあった。


魚は......まぁ分かるが、しかし。


それと混ざって、



小 動 物 の 死 骸 が 大 量 に 打 ち 捨 て ら れ て い た 。



全てが全てとも、頭が潰されており、内臓が引き摺り出されたのかの様に、腹部が異様なまでにへこんでいる。



酔っているからか一瞬幻覚を見ているのかとかぶりを振るも、鼻をつく腐乱臭が後押しし、幻覚ではなく現実だという事実に、大量の疑問符が頭上に湧き出でるが如く不安定な気分に僕は浸っていた様に、今となっては思う。


(料理か?)

(いやでも違うだろ?)

(片手じゃ効かない数をどうして?)



彼女が後ろに立っていた。



言い訳がましくなって恐縮なのだが、伏せていた秘が露呈したせいで逆上して刺されるだとか、あるいは小動物の死骸よろしく僕を同様に処そうとしただとか、そんな暴力的で猟奇的なシーンはこの後も出てこないので安心して欲しい。



けれども彼女は、なんていうか特殊で。



「ごめんねー、ゴミの日に出すの忘れちゃってて」


なんてはにかみつつも、



動 物 の 脳 や 臓 物 を 生 き た ま ま 取 り 出 し 口 に 含 ん だ り 自 身 の 身 体 に 塗 り た く る 事 が 趣 味 で あ る の を、僕に告白した。



文字に直すと、とても現実味に欠けるシュールな具合になってしまうのだが、それを知った当時の僕は、その異常性癖よりも更に異常だと感じた点が二点程あって。


酒が入っているとはいえドン引きせざるを得ない事情を、まるで先週旅行に行ってきたのよみたく 普 通 の 表 情 で 語 る 彼女の精神メンタルが、一つ目で。


夕方会ってからタクシーに乗るまでの間、存 在 し な か っ た 銀 色 の 指 輪 が 左 手 の 薬 指 に 装 着 さ れ て い た のが、二つ目。


「とりあえずシャワー浴びてくるし、寝室でくつろいでてよ」


室内灯に反射しきらきら光る左手を振りながら、彼女はバスルームに消えていった。


水の流れる音を確認したと同時に、僕は全速全身(むしろ喘息全震な勢いだった)で、彼女の家から飛び出して、一目散に逃げ出したのだった。


去り際に靴箱を確認した際に、どう見ても男物の革靴が存在していたこともあって、黒だったと断定出来る。



その日のうちにマッチングアプリのアカウントを削除し、もう二度と利用しまいと決意をするに至ったのだが、なんだろう。



今回はおつきあいに至らなかったとはいえ、知らないままでいれば間違いなくおつきあいになっていた予測は容易に立つのだが、なんていうんだろう。



一人目がディーブイで、二人目がメンヘラで、三人目が12年上の子持ちのバツイチで。



女性に難有りっていうレベルじゃねーぞとか、反省する気すら起きない小事に他ならないと、僕は痛感したのだった。



【終わり】
※後日談は盛り上がりに欠けるし只々気分が悪い話なので書く予定はありません。



本日もお時間をいただき、ありがとうございました。




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